1月27日、49台目と50台目のスマイルピアノを、岩手県にお届けしてきました。
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まずは山田町のナオトさんのお宅。
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当日は、快晴のお届け日和!
だったんですが、前日の大雪の影響で道路は渋滞。
徐行運転のため時間ギリギリに到着すると、ナオトさんが玄関前までお出迎えをしてくれました。
新築のお宅にピアノを搬入。
なんとピアノ用の部屋を用意していて、所定の位置にピアノを置かせていただきました。
ピアノが届くのを、楽しみしていたことが伝わってきました。
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ナオトさん一家は、織笠のご自宅と山田町で経営をされていた写真店が全壊。
震災の翌日からは宮古の弟さんの家にお世話になります。
そして、震災から1カ月後には男の子が誕生。
病院も近かったので、とても安心できたそうです。
その後、仮設に移り去年の11月に高台の新居に引っ越すことができました。
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実は、ナオトさんのお姉さんが小学生の頃から中学1年生までピアノを弾いていて、
日曜の朝はお姉さんのピアノの音が聞こえるのが日常だったそうです。
そのお姉さんから譲り受けたピアノを「自分の子供たちに弾かせたい」と思っていたのですが、
被災してしまいます。
でも、ピアノを弾くことをあきらめず、
小学4年生と2年生の女の子の二人がピアノ教室で習うことに!
しかも、2012年にピアノをお届けした佐藤先生のピアノ教室に通っていたんです!
(お届けの当日は、佐藤先生も駆けつけてくれました。先生のレポートはこちら
http://www.nishimura-yukie.com/smilepiano_report/739/)
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二人とも、先生に褒められるのが嬉しくて一生懸命練習をしたそうです。
発表会だけでなく、グレードの検定試験も挑戦。
いつも試験前は、ピアノ教室の佐藤先生のお宅へ毎日のように通い練習をするために、
お父さんが車で30分の距離を送迎していたそうです。
二人と自宅でピアノを弾けることが楽しいようで、届いたばかりのピアノの前から離れません。
4年生のお姉ちゃんはベートーヴェン「ロマンス」。
2年生の妹は「開拓のうた」を弾いてくれました。
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ご両親が2人の演奏を聴いて、
「ずっとヘッドホンで練習していたので、生のピアノの音色は久しぶりに聞いた。
こんなに上手になっていてびっくりした」と話してくれました。
そんなご両親の言葉に、お姉ちゃんと妹も嬉しそうにしていました。
仮設にいたころは、佐藤先生から譲っていただいた電子ピアノを、
音が漏れないようにヘッドホンをして弾いていたんだそうです。
でも、これからは生のピアノで練習ができるようになって、本当によかったです。
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50台目のスマイルピアノは岩手県大船渡の真知子さんのお宅にお届けしてきました。
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『姉と私が小さい頃から弾いていたピアノが、震災で無残な姿になってしまいました。
その姿を見て、涙が出ました。
いつか娘がピアノを弾きたいと言ったら、そのピアノを弾かせてあげたいと思っていただけに
ショックが大きいです。
震災の3週間前に生まれた娘も小学1年生になり、ピアノを習いたいと言うようになりました。
ピアノに親しんでもらいたいので、譲っていただけたらとても嬉しいです。』
という、メッセージを真知子さんからいただきました。、
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東日本大震災で失われたピアノの数は、およそ500台だと言われています。
このピアノも、そのうちの1台です。
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震災当時は、2月に女の子が生まれたばかりで、
唐桑町にあるお母さんの家に里帰りしていたという真知子さん。
おばあちゃんが用意してくれた、ミルクやポット、オムツを持って車で山の方へ。
山を登っていく途中、親戚が無事でいることがわかり身を寄せることになりました。
旦那さんは仕事で大船渡にいたため、会えたのは5日後だったそうです。
今回、お宅にお届けしたピアノは、神奈川県横須賀市の方から譲っていたピアノです。
型番は古いけど、すごく綺麗だと運搬業者さんがびっくりしていたので、大事にされていたことが分かります。
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そのピアノを真知子さんのお宅へお届けに行くと、ご家族全員が出迎えてくれました。
お届けしたピアノを見た小学3年生の男の子が、
「あっ、ヤマハだ。ぼくローマ字習ったから読めるよ」
「ピアノ立派だなー びっくりだなー」と、ずっと呟いて喜んでくれました。
小学1年生の女の子に「ピアの弾いてみない?」と聞くと、
「お母さんと一緒なら、、、」と恥ずかしそうに答えてくれました。
「20年ぶりだから」というお母さんと二人でピアノ演奏。
途中から私も加わり、3人で”キラキラ星”を演奏しました。
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今度は男の子に「ピアノ弾けるの?」と聞くと、
「リコーダーなら吹けるよ」と答えてくれました。
それならば!ということで、今習っているという楽譜を開き、ピアノとリコーダーで共演。
ところが、何度も途中でフイちゃうんです!
どうやらピアノが家に届いたのが嬉しかったようで、ついつい笑顔に、、、
何度やり直しても、フイちゃうところが可愛らしかったです。
最後は、「ビタミン」を演奏させていただきました。
私たちが帰るときには、「ピアノすっげえ。でっかいピアノ。さようなら。またこんど。」
と、窓にメッセージまで用意してくれたんです!
この先も、ピアノのある時間を楽しんでくださいね。
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もともと実家にはピアノがあって、真知子さんとお姉さんが弾いていたそうです。
自分の娘にもピアノを弾かせたいと思っていた矢先に震災にあってしまいました。
でも、今回のお届けしたピアノで、
真知子さんの思いを叶えることが出来てよかったです。
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実は今回、陸前高田に寄り道をして佐々木鮎美さんに会って来ました。
鮎美さんは、スマイルピアノ500を始めるキッカケになった女の子です。
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鮎美さんには、2014年に電子ピアノをお届けすることが出来ました。
現在、鮎美さんは20歳。夢だった保育士さんになっています。
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鮎美さんが小学生のときに埋めたタイムカプセル。
その中には、未来の自分宛てたメッセージがありました。
「保育士さんになっていますか?」
一時は、保育士さんになることを諦めた鮎美さんでしたが、
2014年にお届けした電子ピアノが夢をつなぎ、今は保育士さんになっています。
鮎美さん、また会いましょうね!
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