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ピアノとピアノの音を被災地に。「Smile Piano 500」

活動の報告

2018.03.30

ピアノと音を届けに 〜岩手県大槌町

3月30日、岩手県大槌町へ51台目のスマイルピアノをお届けしてきました。

今回は兵庫県の神戸市から岩手県の大槌町まで約1000キロの距離を移動、しかもグランドピアノです。

お届け先は、復興拠点施設の「おしゃっち」。
「おしゃっち」は、震災前に大槌町の御社地地域にあった町立図書館や御社地ふれあいセンターなどの機能を一つに集約した施設で、文化発信の拠点となる建物。
震災前から大槌町の中心地だった御社地にできる施設ということで、愛称募集の応募の中から漢字ではなく平仮名を用いた「おしゃっち」が選ばれたそうです。
その「おしゃっち」に、グランドピアノを届けることが出来ました。


当日はちょっと動くと汗ばむような晴天で、まさにピアノのお届け日和。
出迎えてくれたのは、大槌町の方々や役所の方々、地元コーラス隊の皆さん。
搬入口にトラックが到着すると「おー」という歓声!
そして、ピアノがトラックから降ろされると今度は「わー」という歓声が上がり、自然に拍手がわき起こります。
子供から大人まで、みんな笑顔でピアノのお届けを喜んでくれました。


建物は3階建てで、1階は町の情報などを展示するエントランスホールと講演会や演奏会など様々なイベントに活用できる多目的ホール。
2階は、料理のできる部屋や畳の部屋などのほか、震災伝承の展示室があります。
3階は、図書館で約4万冊の本や雑誌が納められる予定だそうです。

お届けしたピアノは多目的ホールへとは運ばれることに。
ピアノが組み立てられる様子を、大槌町の皆さんがじっと見つめています。


ピアノが無事、搬入できたところで、「おしゃっち」内を見学。2階を案内していただきました。
まず、ご案内いただいたのは交流スペース。
白い壁に木の梁が温かい印象で、とっても落ち着いた雰囲気です。
イスやテーブルも木で出来ていて、面取りまでしてあって、しかも手作り!
各テーブルにはコンセントが付いていて、手元で電源が使える便利な機能もあるんです。
また、ご案内いただいた関係者の方から、「釜石市で火災があった後の木材を使って、イスやテーブルを作りました」と伺いました。
火災にあった木材を再利用することで「ちゃんと使えるんだよ」ということを伝える思いがあるそうです。

いよいよ弾き始め、、、なんですが、今回は演奏会です。
私がソロで3曲演奏した後に、地元コーラス隊の「キッズコーラス♪あぐどまめ」「コーラス大槌」「童謡を歌う会」皆さんと3曲セッションさせていただきました。


最初に「キッズコーラス♪あぐどまめ」のみんなとセッション。子供たちがノビノビと歌ってくれました。
練習や発表会などで場馴れしているのかと思いきや、「歌を発表する機会がありませんでした。大勢の前で歌えて嬉しかったと思います」と平野公三町長がお話してくださいました。

そうなんです。演奏会には平野町長も観に来てくだっていたんです。
演奏会の後、改めて平野町長にお話を伺うと、私の出身地、大阪府の豊中市と大槌町に繋がりがあることがわかりました。
豊中市消防局の職員の方々が、震災直後から大槌町へ出向。5か月間大槌町で過ごすことに。
豊中市が、阪神・淡路大震災で大阪府内最大の被害を受けた経験から、防災業務の立て直しなどを行ったそうです。
中でも、いろんな話ができたことで心が落ち着いたと話してくださいました。
平野町長は、今でも豊中市消防局の職員の方々と交流があり、連絡を取り合っているそうです。


今年の8月には大槌駅の工事がスタート。
来年3月23日にはJR山田線が開通することになります。
「ぜひ、いろんな形でかかわった方がたにも来ていただき、復興した大槌町の姿を見てほしい」と話しておられました。


今回、大槌町の「おしゃっち」へピアノをお届けしたことで、いろんな繋がりを感じました。

会場を後にする時、地元の方が声をかけてくださいました。
「おしゃっちにはピアノが入る予定がないと聞いていました。すっかり諦めていたので夢のようです」と。

大槌町の皆さんに歓迎していただき、ピアノも喜んでいると思います。