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ピアノとピアノの音を被災地に。「Smile Piano 500」

活動の報告

2019.05.14

ピアノを届けに 〜福島県いわき市

58台目のピアノお届けは、テレビ番組とのコラボにより実現しました。

テレビ朝日の「白の美術館」に出演したときにペイントしたピアノを、スマイルピアノ500としてお届けしたのです。
この「白の美術館」という番組は、「1時間という時間制限の中で真っ白な空間に思い思いの表現をする」という内容で、これまでに様々なアーティスト、クリエーターの方が出演し、“今、いちばん伝えたいこと”を表現してきました。

そこで西村は、ピアノを使った表現をしたいと思い考えついたのが、真っ白なピアノにペイントをすること。
しかも演奏しながら。
絵の具を10本の指につけ、真っ白なピアノを弾いていきます。
それを12回繰り返し、12色の絵の具で12曲を演奏。
見事、白いピアノが鮮やかに彩られました。


実は、今回の番組出演では、もう1つリクエストをしたのです。
それは、「ペイントしたピアノを子供たちにお届けしたい」ということでした。
このリクエストが採用されて「白の美術館」と「スマイルピアノ500」とのコラボが実現。
12色に彩られたピアノは、「子供たちに届けたい」という希望通り、福島県いわき市の幼稚園に届けさせていただきました。
園は被災で園舎を失ってしまいましたが、2017年に移転先で再開。
今回は、新しい園舎へのお届けということになりました。

当日はお天気が崩れるとの予想でしたが、今回もお届け時は大丈夫でした。
園に近づくと、子供たちの元気な声が聞こえてきます。
ピアノを積んだトラックが到着すると、「わー」という歓声とともに拍手が湧きます。
運び込まれたピアノには白い布が掛けられていて、どんなピアノか分かりません。
ざわざわする中、布を取るとカラフルなピアノが現れ、大きな歓声と共に子供たちがピアノに駆け寄ってきました。

運搬してくださったのは、『スマイルピアノ500』でいつもお世話になっているピアノ調律師の遠藤さんと、息子さんたち。
粋なはからいで、ピアノに白い布をかぶせたまま教室に運んでくれました。
どうもありがとうございました。

布をとると、しばらくお触りタイム(笑)
色や手触りが興味を引き「この色、きれいね」などと話しかけてきます。
その後、子供たちには私のピアノ伴奏でドラえもんの歌を歌ってもらいました。
足を踏み鳴らしたり、一回転したり、子供たちは大はしゃぎ。


今回のお届けで特に印象的だったのが、
12色に彩られた白いピアノを見た子供たちの反応でした。
茶色を見ると「これはチョコレートだね」
「ブルーと黄色が混ざっているからここはオレンジ、美味しそうな色」
「ここの絵の具は柔らかいのにこっちは硬いのはなんでかな」
などなど言葉が飛び出してくるんです。
色や手触りに対する子供たちの感性が鋭かったことに驚きました。

お届けの後、園長先生が、
被災前から今までの歩みをまとめた動画を見せてくださいました。
海のすぐ側に建っていた幼稚園。
被災した時の写真を見ると改めて被害の大きさが伝わります。
ピアノが横たわっている写真もありました。
園の皆さんで片付けをし、そこに花が咲き、2017年に移転先で再建。
その時々の様子が丁寧に記録されていました。
園長先生の子供や園に対する想いが伝わってきて、ピアノをお届けできたことを本当に嬉しく思いました。

白いピアノを譲ってくださったのは今年の1月にお仕事をご一緒した青森の調律師さん。今、ピアノは黒が主流のため白いピアノはとても貴重、本当にありがとうございました。

ということで、58台目のピアノも皆さまのおかげで特別なお届けになりました。