57台目のピアノは、震災から8年目の2019年3月11日の前日、
3月10日にお届けしてきました。
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お届け先は、岩手県陸前高田市の佐々木さんのお宅です。
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当日は晴天で、絶好のお届け日和。
海の見える高台の素敵な家にピアノを運びこみ、みんなが集まる居間に設置することができました。
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この日迎えてくれたのは、ご連絡をいただいた佐々木さん(ご本人)佐々木さんの息子さんとお嫁さんに、2歳のお孫さん(男の子)佐々木さんの娘さん、そして佐々木さんのご主人のお姉さんと、ご主人のお母さん。
さらに、ご近所さんの菅野さんと菅野さんも駆けつけてくれてくれました。(偶然にも、2人とも菅野さん)
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実は菅野さん、2011年の冬に仮設に電子ピアノをお届けした菅野さんと、2018年の夏にアップライトピアノを届けした菅野さんだったんです!
佐々木さんと2人の菅野さんは、実は高校時代の同級生で、みんな、お嬢さんがピアノを弾いていたそうです。
3人は、震災前も近所に住んでいて、津波の4〜5日後に田んぼに倒れたピアノが3台並んでいるのを見たとき、「あれは、きっと私たちのピアノだね」と話したんだそうです。
同じ場所に冷蔵庫も並んでいたので、重いものが波によって1つの所に流れ着いたのでしょうか、、、
佐々木さんは、当時その会話に加わっておらず、3台のピアノが倒れていたことにも気付いていなかったので、この日、菅野さんに聞いて初めて知ったと言っていました。
震災当時のお話をして下さったお2人の菅野さんは、ピアノをお届けした日の朝、震災後初めて潮干狩りに出かけたそうです。
これまでは海で潮干狩りをする気持ちになれなかったが、行ってみようという気持ちになれたのよと話してくれました。
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無事、リビングの指定の場所に置かれたピアノ。
調律師の小野寺さんが調律のためにピアノの鍵盤を鳴らすと、いっせいに「オー!」と歓声があがります。
ご主人のお母さんが、「いい音だね、やっぱり生の音っていい、幸せな気持ちになりますね」とおっしゃっていました。
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弾き初めを担当したのは、中学3年生までピアノを弾いていたという佐々木さんの娘さん。
ほんの少しだけ弾いてくれました。
その後、西村さんがピアノの音のお届け。
娘さんが中3のときにピアノ発表会で弾いたという、シューベルトの「野ばら」と「微笑みの鐘」を演奏しました。
再び、佐々木家にピアノの音が響き渡った瞬間でした。
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演奏の後は、ご主人のお母さんがご用意してくれた、海でとれたばかりのヒジキのほか煮物、自家製の白菜キムチ、炊き込みご飯などをふるまってくださいました。
以前は、ワカメやアワビ、ほたて、ホヤなどを獲っていて、人にあげて喜んでもらえるのが嬉しかったのが、震災後、できなくなって寂しいとおっしゃっていました。
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美味しいご飯をいただいていると、佐々木さんのご主人が帰宅、西村さんに会うために早く帰ってきてくれたそうです。
ご主人との会話の中で、「以前は町にピアノの音が響いていた」というお話がありました。
前は、みんな窓を開けてピアノを弾いていたので、しょっちゅうピアノの音が聞こえてきていて、「この音は、誰が弾いているのかな?」という話題が日常でしたが、今は、窓の気密性が高くなってしまったので、ピアノの音が近所から聞こえないのが残念なんだとか、、、
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こんなお話をご主人としている間、ピアノの音が聞こえていました。
それも、“ひっきりなし”になんです。
まず、おばあちゃん(ご主人のお母様)と娘さん、おばあちゃんもピアノの鍵盤を叩く。
次に、息子さんのお嫁さんと子供など。
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震災時のお話もうかがいました。
佐々木さんは特別養護老人ホームにお勤めだったそうです。
ご主人は、車で気仙川の橋を必死に渡り、なんとか無事だったということで、その時の様子を収めた写真も見せてくださいました。
また、ご主人のお姉さんは小学校の先生をしていて、生徒さんのケアなどでしばらく帰れなかったそうです。
残念ながら、佐々木さんのお父様はお亡くなり、しばらく見つけることが出来なかったそうですが、遺体安置所で見つけたのは息子さん(孫)。きれいなお顔だったと話してくれました。
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佐々木さんのお姉さんのご主人も、盛岡から早く帰宅してくださったので、もう一度演奏。
リクエストを伺うと、ユーミンの曲と私の曲をいただきました。
ユーミンからは「春よ、こい」、続けて西村さんのオリジナル曲「いつまでも」を演奏。
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最後に譲ってくださった蛭田さんと電話で話してもらいました。
蛭田さんも喜んでくださり、またここから交流が広がりそうです。
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ピアノの状態は驚くほどよく、調律をしなくてもよいぐらいでした。
この先、お届けしたピアノがどんな音を奏でていくのか楽しみです。
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これは後日談なんですが、今回ピアノを譲ってくださった蛭田さんのご主人から連絡をいただきました。
実は、ソプラノ歌手としても活動をしている蛭田さんは、福島県いわき市で歌やピアノを教えていて、その教え子がピアノをお届けした佐々木さんのご家族と親友だったんです。
蛭田さんと教え子のお母様はこの偶然に驚き、離れているようでも何処か繋がっていることを喜んでいたそうです。
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ピアノをお届けした佐々木さんのご家族と、ピアノを譲ってくださった蛭田さんが歌やピアノを教えている教え子のご家族。
そして、佐々木さんの高校時代の同級生だった、2011年の冬に仮設に電子ピアノをお届けした菅野さんと、2018年の夏にアップライトピアノを届けした菅野さん。
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「スマイルピアノ500」が縁で、いろんな繋がりを感じることが来た今回のお届けでした。
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