Yukie Nishimura Official Website

ピアノとピアノの音を被災地に。「Smile Piano 500」

活動の報告

2012.06.03

ピアノを届けに 〜気仙沼〜大船渡〜

5回目となる今回は、気仙沼から大船渡にかけて、電子ピアノ1台とアップライトピアノ3台をお届けして参りました。

スケジュールの都合で今回も日帰りです。

夜中に東京を出発したトラックの荷台は、お届けする順番に積まれた4台のピアノでいっぱいです。


まず一件目にお伺いしたのは、ピアノ運搬チームの紹介で、気仙沼の高台にある仮設住宅。

集まった近所の方々に手伝って頂いたおかげで、賑やかな雰囲気の中、手際良く設置することができました。

近くでピアノ教室をされている先生も、西村の楽譜を持っていらっしゃいました。

なんでもこの先生、西村が創刊からずっと連載を続けている「月刊ピアノ」を、第一号から全部集めているとのこと。

でも、1冊だけ持っていないそうです。
それは、どうしても手に入らなかった2011年の4月号。

西村は、先生のリクエストで、オリジナル曲「琥珀色の風景」を演奏しました。

「今度気仙沼を訪れる時は、2011年4月号をお届けしよう。」
そう思いながら仮設住宅を出発、気仙沼を後にしました。


昼過ぎに大船渡に到着、次のお届け先に向かいます。

本日2件目は、中学一年生と小学4年生の女の子がいるお宅。

ここからの3件は、いずれも「大船渡でピアノ教室をされている先生」に紹介して頂いた生徒さん。

今回お届けした日が、学校がお休みの日曜日ということもあって、どのお宅もお子さまも一緒にピアノの到着を待っていました。

子供部屋のある2階にクレーンを使って搬入し、最後に調律師さんが用意してくれたレースのピアノカバーを被せて設置完了。

西村が「微笑みの鐘」を演奏すると、二人とも目を輝かせながら聞いていました。


続く大船渡2件目は、ピアノが大好きな中学一年生の男の子。

震災で家もピアノも流されたそうですが、今春行われた小学校の卒業式や、その後入学した中学校の文化祭で、ピアノ伴奏を立派に務めたとのこと。

お母さまから頂いたメールには「つらいのを必死で耐え、常に明るく振るまっている息子に、どうかもう一度ピアノを。」とのメッセージ。

我々が到着すると、ジャージ姿の元気な男の子が笑顔で迎えてくれました。

そして、西村の演奏後、お礼に一曲一生懸命弾いてくれました。

再び家でピアノが弾ける喜び、こちらにも伝わってきました。


最後は、小学生の女の子が二人いるお宅。

震災で1階が全部水に浸かったそうですが、漁師であるお父さまが全て自分の手で修復されたそうです。

お母さまも、漁師の妻らしく気丈に振る舞われていたのですが、西村が「ビタミン」を演奏すると、涙が溢れ出ていらっしゃいました。

「まいったな、ビタミンが不足していたから身にしみるね。」

照れくさそうな笑顔が印象的でした。


こうして無事4件ともお届けし終わったとき、去年末に伺ったピアノ教室の先生が、西村が大船渡に来ている事を聞きつけ、会いに来て下さいました。

 

東北で広がるピアノの輪。

肌で感じながら、一路東京に戻りました。