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ピアノとピアノの音を被災地に。「Smile Piano 500」

活動の報告

2011.12.19

ピアノを届けに 〜陸前高田市〜

3回目となる今回は、岩手県陸前高田市にグランドピアノ2台、電子ピアノ1台をお届けしました。
年内に、そして雪深くなる前にとの思いで師走に決行。
何度か訪れている陸前高田市。これまでは一ノ関から峠を越えるルートを使っていたのですが、内陸は雪が心配のため、仙台から海沿いに向かうルートを選択。前日の12月18日に東京を出発、その日は中間点にあたる南三陸のホテルに、ピアノ運搬チームと一緒に宿泊しました。
翌朝、少し時間に余裕のあった西村は、急遽今年6月に学校コンサートを行った「長部小学校」を訪れることにしました。
突然の訪問にも関わらず、玄関には「西村由紀江さんようこそ」の掲示が。そして、校長先生と半年ぶりの再会を果たしました。
前回は、時間がほとんどなかったのですが、今回はゆっくり、いろんなお話を伺うことができました。
震災当時の学校や生徒のこと、その後のご苦労、そして実はご自身も被災されピアノを失っていたということ。
先生のお宅は、現在建て直しており来年春頃に出来上がるそうです。
暖かくなったらピアノと一緒に新居にお伺いすることを約束して、学校を出発。

まず一件目は、もともとピアノ教室をされていた方で、偶然にも今訪れていた長部小学校の先生のお知り合い。

プレハブで教室を再開されるということで、「スマイルピアノ500」初めてのグランドピアノをお届けすることに。
先生方、生徒さん、ご家族の方みんなで、玄関のドアを外したり、ピアノを持ち上げたり、ネジを締めたり。
そうして巨大なグランドピアノは、プレハブの中に納まりました。
みんなに見守られながら西村が演奏すると、お礼に、生徒さんからクリスマスソングの合唱のプレゼント。
一足早いクリスマスが仮設教室に訪れました。

次も、ピアノ教室をされている方。

実はこの方、以前何度かお会いしようと試みていた「報道番組に出ていた津波でピアノを流された女の子」が通っているピアノ教室の先生。
その女の子を通じて「スマイルピアノ500」を知り、西村宛てにお手紙を下さったのです。
「この活動に本当に感謝します。」と記されたその手紙からは、先生の音楽そしてピアノを愛する気持ちがひしひしと伝わってきました。
教室となるご自宅の一室にグランドピアノをお届けするときは、当然窓は開け放したまま。スタッフも西村もお酒を飲んだように顔が真っ赤です。でも新たな息吹が吹き込まれる喜びで寒さは感じないとのこと。
西村のピアノを聞きに集まった生徒さんたちから手書きのカードも頂き、心温まるひとときでした。

3件目は、仮設住宅にお住まいの方で、住宅事情により電子ピアノをお届けすることに。
伺った時は既にもうあたりは真っ暗、雪も降り出してきました。
おじいちゃんとおばあちゃん、お母さん、そして娘さんでこたつを囲いながら、震災当時のお話を伺いました。
「津波で家が流され、震災直後は海が憎かった。しかししばらくたって気持ちが変わってきてね。自分たちは海からたくさんの恩恵を受け、海とともに生きて来た。海に感謝し、今また海が見えるところに家を建てているんですよ。」

ポツポツと語るおじいちゃんのお話が印象的でした。
本日中に東京に戻らなければならない私達は、焼いてくれたお餅を頬張りながら仮設住宅を後にしました。
吹雪舞う真っ暗な沿岸道路を、車を飛ばしながら東京に戻りました。