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ピアノとピアノの音を被災地に。「Smile Piano 500」

活動の報告

2013.10.03

音を届けに 〜福島県いわき市〜

10月3日、いわき芸術文化交流館アリオス(福島県いわき市)で「スマイルピアノ500」のチャリティーコンサートが開催されました。
約650席の中劇場は、招待されたお客さまでいっぱいになりました。

 

ステージに上がると、西村は挨拶をする前に「微笑みの鐘」を演奏しました。
東日本大震災が発生して余震が続くなか、「ピアノで1人でも多くの人に笑顔を届けたい」と思い、夢中でピアノに向かって書き上げた曲です。
テレビユー福島(TUF)開局30周年を記念するこのコンサートでは、映像をふんだんに使い、アナウンサーの女性と西村が対談を進めながら、「スマイルピアノ500」の活動を紹介させていただきました。
第一部の終わりには、小さなピアニストが登場。
2012年10月にピアノをお届けした、いわき市に住む小学5年生の康治くんです。
こんな大舞台なのに少しも緊張することなく、康治くんは「もしもピアノが弾けたなら」を上手に堂々と弾いてくれました。
1コーラス目はひとりで演奏し、2コーラス目は西村と連弾。
その舞台度胸にすっかり感心した西村が将来の夢を聞くと、、、、、
康治くんの答えは音楽家ではなくて、サッカー選手でした(笑)

第二部が始まってまもなく、西村が弾く「優しい風」に合わせて、舞台の背景には数々の写真が映し出されました。
福島の皆さんから寄せられた「スマイル」の写真です。
子どもからお年寄りまで、様々な笑顔がありました。
犬が笑っているような写真もあれば、青い空にぽっかり浮かんだ雲がスマイルマークのように見えるものもあって、会場が温かい空気に包まれます。

 

第二部のゲストは、原順子さんと叶央介さん。スタンダードナンバーの「SMILE」や「りんご追分」を歌ってくれました。アンコール曲の「花は咲く」は、会場のみなさんも加わって大合唱になりました。

康治くんのほかにも、これまでに「スマイルピアノ」をお届けした何組かのご家族と再会することができました。
ほのかちゃんという女の子は開演前、西村を激励する手紙を楽屋に届けてくれました。
ピアノをお届けした当時、どのお宅も段ボールが山のように積み上げられ、家財道具がまだじゅうぶんに揃っていないような状況でした。
でも、1年ぶりに会ったみなさんの笑顔は一段と明るく、まぶしいほどに力強く輝いていました。

 

翌日、もう1つの「スマイルコンサート」が開かれました。
会場は、いわき市の楢葉町小・中学校中央台仮設校舎の体育館です。
本校舎のある楢葉町に住んでいたみなさんは、福島第一原子力発電所の事故による影響を受け、避難生活を余儀なくされています。

 

西村が演奏したグランドピアノは、今年の1月18日まで本校舎の中学校体育館にありました。
卒業式が行われていた2011年3月11日からその日まで、埃をかぶったまま置き去りになっていたのです。

2012年の秋、楢葉町教育委員会のかたから「スマイルピアノ500」にメールが届きました。

子どもたちにピアノのある学校生活を送らせてあげたいということでした。
お話を伺っているうちに、譲り受けたピアノをお届けするのではなく、本校舎に残されているピアノをなんとか再生して使いましょうということになり、クリーニングや調律などのメンテナンス費用と運搬料を負担することで、私たちがお手伝いさせていただくことになりました。

 

仮設校舎は体育館も含めてプレハブの建物なので、先生がたは西村が演奏しにくいのではないかと、とても心配そうでした。
ところが、天井が高すぎないこの体育館は音が飛び散らず、ピアノがとてもよく響きました。
コンサートホールに負けないくらい、立派な音響でした。

「これから西村さんが、みんなに音のビタミンを届けてくれます」
先生の司会を受けて、コンサートは「ビタミン」で始まりました。


名曲メドレーを聴いて曲名を当てるクイズ、作曲体験など、アクティビティが盛りだくさんの50分はあっという間に過ぎて、最後は子どもたちのリクエスト曲「ビリーブ」を全員で合唱しました。
終わりに、中学3年生の女子生徒がみんなを代表して、西村に温かい言葉と花束をプレゼントしてくれました。
「今日の感謝の気持ちを忘れずに、勉強をがんばります!」

みんなの笑顔をこころのビタミンにして、西村はこれからも音楽をがんばります!