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ピアノとピアノの音を被災地に。「Smile Piano 500」

活動の報告

2013.08.02

ピアノと音を届けに 〜福島県いわき市〜

8月1日の深夜、25台目の「スマイルピアノ」が埼玉を出発しました。
今回のお届け先は福島県いわき市。小学6年生のみらいちゃんが待っています。
でもこのピアノ、みらいちゃんと会う前に、朝のテレビ出演(生放送)という大仕事が控えていました。
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2日の早朝、テレビユー福島に到着するとすぐに調律とリハーサル、そして本番を迎えました。

西村が演奏曲として選んだのは「はるか遠くへ」。
この曲は、遠く離れた故郷に人々が思いを馳せたり、家族とのつながりを愛おしく感じたりする気持ちを考えながら書いた作品です。
テレビ局に滞在中、番組スタッフのみなさんがかわるがわる西村に声をかけてくれました。
「私たちのことを忘れないで活動してくださって、ありがとうございます」
まっすぐに西村の目を見て話すみなさんの温かい気持ちに触れて、心を打たれました。

 

午後3時。いよいよ、みらいちゃんのお宅にピアノを搬入します。
津波で自宅を失った彼女は今、今年4月に完成したばかりの祖父母の家に住んでいます。
保育園に通っていた頃から教室でピアノを習っていましたが、自宅のピアノが流されてしまい、レッスンをお休みしていたそうです。
ピアノを設置するみらいちゃんの部屋は2階にあるので、クレーンで吊って窓から入れます。
あと数ミリ寸法が違っていたら通らなかったかもしれないほどぎりぎりの空間を、ピアノはかろうじてすり抜けていきました。
しかしほっとしたのも束の間、勉強机とベッドのあいだに、いざピアノを置こうとすると、ほんのちょっとのことで入りません。
そこで急遽ドライバーを持ち出し、勉強机についている棚を取り外しました。
見守っていたみんなは一瞬ヒヤッとしましたが、ピアノは無事に収まりました。

 

学校の先生が花束を持って駆けつけてくれました。
近所の子どもたちも集まっていたので、とても賑やかです。
活発で人見知りしないみらいちゃんは、西村のためにピアノを弾いてくれました。
お返しに、西村は「ビタミン」と「微笑みの鐘」を演奏しました。
並んで立つと、小柄な西村が見上げてしまうほど背の高い、スポーツ少女のみらいちゃん。第一印象では大人っぽく見えましたが、「スマイルピアノ」と対面したときの彼女の笑顔はあどけなく、その日の空のようにからっと明るくて、元気いっぱいでした。