Yukie Nishimura Official Website

ピアノとピアノの音を被災地に。「Smile Piano 500」

活動の報告

2012.10.22

ピアノを届けに 〜福島県久之浜〜

震災から1年半以上が経ち、
これまで寄せられたピアノの要望は20件以上。

 

しかし、その中に福島県は含まれていませんでした。
そのことは、他の被災地とは違った状況であることを暗示している
ように思え、ずっと気がかりでした。
そんな中、福島県久之浜から届いたピアノが欲しいとの声。
しかも2件。
早速いつものメンバーで一路福島へ!

 

久之浜に向かう途中、栃木県那須市にある「犬猫みなしご救援隊」を
訪れました。
より大きく、よりたくましくなった動物たちと
半年ぶりの再会を果たします。
なによりも感じたのは、動物たちが
以前にもましてリラックスした表情であること。

しかし、色々な事情があり、もうすぐ中谷代表の地元である広島に
拠点を移されるそうです。
数百頭の動物達を連れて、1000キロの移動。
途中で1匹ずつ散歩させるなど、 さまざまな気配りが必要です。
大変な行程になりますが、
とにかくみんなが無事に広島の地に着くことを願って。
(中谷代表とスタッフの皆さんも!)

 

「また会おうね」と動物たちに声をかけながら、
久之浜に向かいます。

 

 

まず一件目は、津波で家もピアノも流されたお宅。
震災後の2ヶ月間は、体育館で避難所生活をされ、
その後半年ほど仮設で暮らした後、
昨年の冬に今の家に越して来られたそうです。
出迎えてくれたのは、小学校2年生の女の子とお母さん、
そして明日から修学旅行という高校生のお姉さん。

 

みんなに見守られながら和室にピアノを設置すると、
お母さんから思わず歓喜の声が。
伺うと、流されたピアノはお母さんが8歳の時に買ってもらい、
嫁入り道具とし長い年月を共にして来たそうです。
「モノがなくなったのではなく、
ピアノと共に過ごして来た思い出がなくなってしまった。」
印象的な言葉でした。

設置後、妹さんが、普段練習している「星に願いを」を演奏してくれました。
すると、恥ずかしそうに西村に、
「あの・・・よかったら、西村さんと連弾したいんです…。」
もちろん!と笑顔で答えた西村、早速即興で連弾。
素晴らしいハーモニーが、家中に響き渡りました。

つられて今度は、高校生のお姉さんも連弾したい!
ということで「キラキラ星」を一緒に演奏。

 

お礼に頂いた、お手製のクッキーとカップケーキを手に、2件目に向かいました。

 

 

 

2件目は、ピアノが大好きな小学校4年生の男の子と、
中学2年生のお姉さんが待つお宅。
事前に男の子から頂いたお手紙を、ここにご紹介します。

 

アップライトピアノをおさめると、その男の子は、
今まで使っていたキーボードに向かって走って行きました。
何をするのかと見守っていると、
「1、2、3、4・・」キーボードの鍵盤の数を懸命に数えています。
そのあと、アップライトピアノの方に走って行き、
「1、2、3、4・・」と再び鍵盤の数を数え始めました。
そして「やっぱり多い!」とニッコリ。


聞くと、これまで鍵盤の数が足りなく、またペダルも使うことができず
不便な思いをしながら、それでも一生懸命練習していたんだそうです。
練習の成果を披露とばかりに一曲弾いてくれました。
曲は、なんとベードーヴェンの「運命」。
力強い演奏の後は、お姉さんの番。
演奏曲は、またまた嬉しい驚き、西村のオリジナル曲「ひだまり」でした。


お礼に西村も「ひだまり」を演奏。
聞きながら、笑顔で見つめ合う家族のみなさん。

 
少しずつ冷えこんできた東北の地で、ほっこり心暖まるひとときでした。

 
こうして、初めて福島に2台のピアノをお届けすることができました。